コケ植物


〜載せた写真は識別できる程度の拡大画像です。コケの識別は正確には顕微鏡の世界ですが
ここには主に見た目、虫眼鏡で見れる範囲の外観と簡単な解説です。
特徴の顕著なもの以外は肉眼では特定が困難と思い名前の探しだせたもの以外は写真のみにしました。〜

 最終更新日  2012/10/25
クモノスゴケ
 
藻類とシダ植物の中間に位置する胞子植物で小型である。茎と葉が明瞭な茎葉体(例:スギゴケ)と明瞭でない葉状体(例:ゼニゴケ)に分けられる
維管束はないが、葉緑体を持ち独立栄養を営む。
茎葉体ではその基部に、葉状体ではその腹面に仮根を持つが水分や養分の吸収はせず、単なる植物体固定の役目をしている。
胞子体の頂端の胞子のう(凵jに作られる胞子によって繁殖する。

生活環はシダ植物と同じく世代交代を行う。ただしコケの場合は、植物体は配偶体であり植物体の上に造卵器と造精器が作られそれぞれに卵細胞と精子を作る。雨などで水に触れた時に精子が流れ、造卵器の中で受精がおこなわれる。受精卵はその場で発生をはじめ配偶体に栄養を依存しながら胞子のう、柄、足からなる胞子体を形成する。
胞子のうは蘚類では帽子を持ち、口部に朔歯をもつ。苔類にはそれらはなく一般に柔らかい組織。
胞子体内で胞子が形成され放出されて発芽する。
発芽した胞子は原糸体を形成。原糸体は葉緑体もち、その上に植物体が発達しコケ植物の体(配偶体)となる。雌雄同株のものが多い。配偶体が生活史の中心である。

繁殖には、以上のように胞子によるもの以外に配偶体の一部が独立してコケの体になる栄養生殖がある、葉や茎の断片からも再生でき、それゆえ、土に断片を混ぜ込んで増やすことも可能である。

世界に25000種、日本では2400種が分布する。
蘚類、苔類、とツノゴケ類に分類される。


↓クリックしてください。


写した場所★〜〜






タマゴケ◎
★蘚類、タマゴケ科
★やや湿った環境を好み、山の谷や斜面下部の岩上や土壌上
  分布:日本全土
★やや大型で、茎の高さ5p内外
  茎の中ほどから下には褐色の仮根が密生する。 
  葉は鮮やかな緑。披針(ひしん)形で長さ7〜10mm
  中肋は葉先に達し、短く突出する
  雌雄同株で
  凾ヘ球形で、長さ1p内外の柄をもつ。若いうちは緑色で、
  熟すと蘚蓋(せんがい))が赤みを帯びる。

  半球状の美しい形の群落を形成して生育する。

★県中部の湿った岩上





コツクシサワゴケ◎
★蘚類、タマゴケ科
★生育場所:反日陰か日当たりの岩上
 分布:本州~九州
★茎は高さ1〜2pで直立し枝分かれはない。
基部に黒褐色の仮根は密生。
葉は1〜1.5ミリの線形で密につく。
雌雄異株.、雄株の茎先は盤状で赤みがある。
胞子体は長さ1〜2pの柄を持ち は球形でやや傾いてついている。
★県中部、さとやま道路わき





ヤノウエノアカゴケ◎
★蘚類 キンシゴケ科
★生育地は低地の砂質土上、屋根の上
 分布:日本全土
★茎丈は0.5〜1p、茎は直立しわずかに分枝する。
  葉は長さ1〜2.5mmの広披針形〜披針形、全縁、
  葉縁が狭く背面へ狭く反曲する。
  中肋は太く、葉先に達するか短く突出する。
  雌雄異株
  凾ヘ傾いてつき、赤褐色の円筒形、非相称で曲がり、 
  普通、基部に低いこぶがある。蓋は円錐形。 
  剿Xは長い僧帽形。口環は発達する。 
  剳ソは赤褐色で、群生しているところは赤いじゅうたんを
  敷きつめたようになる。
★近隣の散歩道





ケヘチマゴケ 〇

★蘚類 ハリガネゴケ科
★生育地は低地の土上、岩上、樹上
 分布:本州〜九州
★茎丈は1〜2p、茎は直立。
  葉はややまばらにつく。乾いても軽く縮れる程度、
  長さ1.5〜2.5oの披針形。葉縁に舷はなく、上部に歯がある。
  中肋は一本で太く、葉先に達する。
  雌雄異株
  凾ヘ緑色で、やや下向きにつき、へちま形(洋梨形)で、短い頸がある。
★県中部の山間部土手


比較:ヘチマゴケは雌雄同株、葉は基部の広い卵形。






コセイタカスギゴケ◎
蘚類 スギゴケ科
★生育地は山地日陰の土上
 分布:日本全土
★茎の高さは4〜10p
 茎は枝分かれせず、乾くと葉が著しく乾縮する。
 葉は長さ4〜8mmの披針形で、鞘部は卵形。
 葉縁には鋭い歯があり、葉鞘部の上部にも歯がある。
 薄板は2〜3細胞高、端細胞の上面は平滑。
 土手から垂れ下がるように生えることも多く、
 左右に葉が分かれてつくように見えることもある。
 雌雄異株で
 雄株は頂端に造精器ができると容易に区別できる。
 雌株は造胞体ができているとすぐわかる。
★県北の森林公園内





ジンガサゴケ◎
★苔類、ジンガサゴケ科
★生育地は土上、石垣、岩上
 分布:日本全土
★葉状体は幅5〜7mm、背面の縁が紫色を帯びる。
 腹面も紫色を帯び、腹鱗片は紅色。
 毛のように細い披針形の付属物 が2個ある。
 雌雄同株。
 雌器托は葉状体の先端につき、柄が長く、
 柄に1本の溝があり、雌器床は陣笠形。 
 雄器床は葉状体の先端につき、、盤状。
 胞子は黄褐色。
★自宅北側の路地





ジャゴケ◎
★苔類、ジャゴケ科
★生育場所:半日陰から日陰の湿った土の上。
        湿った岩の上
  分布:日本全土
★葉状体の幅1〜1.5p、長さ5〜10p。葉状体の表面には六角形の区画がはっきり見え中央に灰色の点状気室孔がある。腹面には中助部付近に紫を帯びたりん片と灰白の仮根が多数ある。
雌雄異株。2〜3月に雌器床の柄が伸び、円錐形の器床の下に胞子体がつく。
★県中部の渓流沿い





キンシゴケ◎
★蘚類 キンシゴケ科
★生育地:裸地  分布:日本全土
★草丈0.5〜1p  葉は長さ1〜4mmの基部が卵形で、先が針状に長く伸びる。中肋は基部では幅が広く、葉の中間より上ではほとんど中肋だけとなる。剳ソは長さ1〜4pで、黄色く、和名の由来は剳ソが金の糸のように細く、長いことから。凾ヘ円筒形で傾いてつき、基部がやや膨らむ。蓋は長い円錐形。
★近隣神社の土手





コツボゴケ〇
★蘚類 チョウチンゴケ科
★生育場所:反日陰地の地上、腐木上、岩上
 分布:日本全土
★匍匐してランナーのように茎が伸びる。葉は卵形、先が尖り長さは3mm内外。葉縁には明瞭な舷があり、葉の上半部に鋭い歯がある。中肋は太く、葉先に達する。凾ヘ長い剳ソの先につく。雌雄異株。
山地で見られる雌雄同株のツボゴケとは肉眼では区別はつかないらしい。
★自宅北側の路地





ツボゴケ◎
★蘚類 チョウチンゴケ科
★生育地:山地の地上、岩の上
  分布:日本全土
★茎は匍匐してランナーのように茎が伸びる。丈は1〜3p匍匐茎と直立茎の2形あり、写真は直立茎。葉は長さ2〜3.5mmの卵形、先が尖る。葉縁には明瞭な舷があり、葉の上半部に鋭い歯がある。
(マウス↑)は長い剳ソの先につく。雌雄同株。
匍匐茎は、伸びて接地した所から仮根を出して
新たな匍匐茎となる。
★県北、湿原の小道





トヤマシノブゴケ〇
★蘚類 シノブゴケ科
★生育場所:山地の日陰の岩上、地上
 分布:日本全土
★茎はゆるくはい、長さ10p内外、先が細長く伸びる事が多い。
規則正しく,2〜3回羽状に枝をだし枝は平面的に広がる。茎の葉は幅広卵形で先は細くとがる。中助は1本で太く葉先近くまで伸びる。枝の葉は小さく中凹み。
茎や枝表面には糸状のパラフィリア(不規則に分枝した小形の葉状物)が密生する。  雌雄異株
★県中部の林縁





オオミズゴケ◎
★蘚類 ミズゴケ科
★生育場所:山地の湿地、湿原
 分布:日本全土だが絶滅危惧種

★茎は長さ10cm以上で、主に先端に葉がつく。茎葉は舌形で、先端にはささくれがある。枝葉は1.5-2mmで、鱗状に茎につく。枝葉は貯水細胞とも言われる透明細胞と葉縁細胞の2種で構成されており、透明細胞にはいくつかの孔がありその名のとおり貯水性がある。
雌雄異株
葉の色は時に黄褐色になることもあり、(マウス↑)特に秋や冬になると中心部が赤褐色に色づく。
★県北、湿原の木道





アカイチイゴケ◎
★蘚類  サナダゴケ科
★生育場所:林下の岩上、地上
   分布:日本全土
★茎は這い、1〜2p。まばらに羽状に分岐する。
枝は幅1.5〜2mmで、葉はやや扁平につき、長さ1〜1.5mmの非相称の卵形、鋭頭、中肋は2叉し、短い。
葉先に細歯があり、葉基部の片側が内曲する。
雌雄異株。剳ソは長さ1.5〜2.5cm。凾ヘ非相称で、傾斜又は下垂する。蓋は短い嘴状。口環は明瞭。剋浮ヘ2列、ハイゴケ型。帽は僧帽形。茎の頂部や葉脇におしぼり状のねじれた無性芽を固まって多数つける。

和名の由来はイチイの木の葉に似た赤いコケの意から。秋から冬に葉がしばしば紅紫色を帯びる
(拡大  マウス↑)
★県北、湿原の小道





エゾスナゴケ〇
★蘚類  ギボウシゴケ科
★生育場所:日当たりのよい土上
 分布:日本全土
★茎は1〜3p、分岐せず、直立し、葉が密につき、乾くと葉が圧着して棒状になる。葉は長さ約2.5mmの卵状披針形〜卵状惰円形。葉先は短い透明尖になる。中肋は太く、葉の上部で終わる。
凾ヘ長楕円状、平滑。剳ソも平滑。剋浮ヘ2裂し、糸状。
★県中部の林縁





ホウオウゴケ◎
★蘚類  ホウオウゴケ科
★生育場所 低や渓流沿いの湿った岩上
  分布:日本全土
★茎は這い、2〜9p長さ。まばらに分岐し、葉が扁平に18〜46対つく。葉は長さ5〜9mmの披針形、鋭頭、中肋は葉先の近くまである

雌雄異株。凾ヘめったにつかないが、茎の上部の葉脇につき、わずかに曲がった円筒形で、やや傾いてつく。剳ソは長さ5〜15mm。

★名は鳳凰の羽を思わせるところから。

★県中部の渓流沿い





ネズミノオゴケ◎
★蘚類  アオギヌゴケ科
★生育場所:半日陰、日陰の湿った岩上、地上、木の根元
 分布:日本全土
★全体にややつやがある。
 横にはう茎から不規則に枝[2〜4センチ]を出し立ち上がる。葉は重なって密につき茎先で小さくなるので全体がネズミの尾のような形に見える。葉は著しく中くぼみでほとんど円に近い。縁に細かい歯があり、中助は太い。
雌雄異株。
凾ヘ傾いてつき、円筒形、非相称。剳ソは長さ15〜25mm。
★県北の渓流沿い崖





クモノスゴケ◎

★苔類、クモノスゴケ科
★生育場所:半日陰から日陰の湿った土の上。
        湿った岩の上
  分布:本州〜九州
★葉状体の幅4〜6mm長さ3〜6p。葉状体の先はしばしば長く伸びる。中助は明瞭で背腹に著しく膨らみ内部に一本の中心束がみられる。葉状体のへりには細長い毛状の歯がある。
雌雄異株。雄器は葉状体基部の中助の両側につき
雌器は中助の表面につく筒状のものの中につく
↑マウス
★県北森林公園内





地衣類

コケ植物と外見はよく似ているが地衣類は菌類に属していて、植物ではない
上のコケと比較しながら見れるよう同じページ内に載せた。


地衣類は、陸上にあって、目に見えるごく背の低い生物である。その点でコケ植物に共通し、生育環境も共通している。ゆえに同一視され、実際に地衣類の和名の多くに「○○ゴケ」といったものも多い。しかし、地衣類とは光合成をおこなわない菌類と光合成をおこなう藻類の共生生物で、分類上は菌類に属している。
必ず藻類と共生し、地衣体という特殊な体をもつ。そして体を構成している菌と藻は、互いに助け合って生活、
菌は藻に住み家と生活に必要な水分を与えるかわりに藻が光合成によって作った栄養を利用して生活する。。両者の共生関係は非常に密接であたかも独立した生物のように見える地衣類は世界に広く分布、日本では約1200種あるというが、大気汚染に弱く、都市部からは姿を消しつつあり、汚染の指標生物となっている。
その形状から、葉状地衣、樹状地衣、固着地衣などがある。


葉状地衣類
薄い紙状で、表と裏の区別がはっきりしており、裏面の 仮根(偽根)で基物にゆるく付着している。
内部構造は上皮層、藻類層、髄層、下皮層の四層に分化。藻類層の多くは、上皮層の下部に、層状に配列されている。髄層では、菌糸がゆるく絡まり合っている。



ウメノキゴケ

★地衣類、子嚢地衣類
 ウメノキゴケ科・ウメノキゴケ属
★生育場所:平地や山地の樹の幹、岩上
★分布:本州、四国、九州、沖縄

★梅の木では特によく見られる。地衣体は葉状、背面が灰白色〜灰緑色。直径25pに達し、裂片は幅5〜20o、先端が円く、背面中央に顆粒状〜円筒状の裂芽を生ずる。腹面は縁が淡黄色〜淡赤褐色で光沢があり、中央部は黒色、黒色の偽根を散生する





樹状地衣類
形は様々である、細かい枝に分かれたり、傘状になったりするものはあるが、コケ植物の茎葉体や高等植物のように、葉のような構造を作ることはない。子実体は枝先などにつく。



ヒメジョウゴゴケ

★地衣類、子嚢地衣類
 ハナゴケ科、ハナゴケ属

★生育場所:平地や山地の地上
★分布:本州、四国、九州

★鱗葉は長さ1〜5o、幅1〜2oの円形。子柄 は直立し、高さ0.5〜2p、直径0.5pのラッパ状盃形、粉芽をつける。共生藻は外髄にある。

▼但し、ヒメジョウゴゴケの仲間は多くの種類があり同定は
 試薬を使わないとわからないそうだ。

・アツバジョウゴゴケ
・ジョウゴゴケ
・メロジョウゴゴケ
・グレイジョウゴゴケ


樹状地衣類



コケ


シダ